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技術資料

◆ガスクロマトグラフィーについて

世の中に現存する全ての物体は、様々な元素で構成されており、それを解明することは大変重要な科学です。その手法の一つのクロマトグラフィーとは混合物質を分離・精製する技法で、1906年にツヴェットにより発明されて以来、ペーパークロマト、薄層クロマトなど様々な手法が開発されてきましたが、現在はカラムクロマトが主流です。ここではガス化された試料の測定のために装置化されたカラムガスクロマトグラフについて説明します。原理的には、注入口から注入された試料中の各物質の大きさ・吸着力・親和力・分配係数の差などを利用して、成分ごとに分離するものですが、最初に最も基本的な吸着クロマトを説明します。

@移動相(キャリヤーガス)
Bカラム(固定相)
D排気
A試料注入口
C検出器
Eデータ処理器(PCなど)
 
                                                      

@をキャリヤーガスボンベに接続します。キャリヤーガスは、一般的に窒素、ヘリウム、水素、時にはアルゴンガスなどの不活性ガスを使用します。原則として、測定対象でないガスを選択します。窒素ガスで窒素を、水素ガスで水素を測定できません。
試料はAの試料注入口から、マイクロシリンジあるいはガスタイトシリンジで注入します。ラインに注入された試料は、キャリヤーガスに乗って、カラムBに流入します。カラムには大別して、パックドカラムとキャピラリーカラムがあります。カラムには様々な種類がありますので、試料に適したものを文献、データ集などを参考にして選択します。カラム内で混合試料は分離され、検出器Cで検出され、排気されます?。測定結果はPCに取り込まれ、クロマトグラムとして表示・印刷・保存されます。
キャリヤーガス、カラム、検出器の選択、及び分析条件の検討には、日本分析化学会の分科会・ガスクロ研究懇談会から出版されている「ガスクロ自由自在」シリーズを参考にされることをお勧めします。GC 研究懇談会http://www.jsac.or.jp/~gc/


◆土壌汚染調査(環境分析)

(誤) 土壌汚染調査は平成11年より施行されている土壌汚染対策法に準じて行われる土壌中のガス及び地下水中の揮発性有機塩素系の化合物12物質を測定します。この測定は、試料が揮発性であるため、現場分析が必要です。現場分析が不可能なGC-MSと異なり、検出器特性を生かしたGC-PID/DELCDシステムです。
下図は測定結果のクロマトグラムです(標準試料)です。



GC-MSは現場に持ち込むことが困難であることから、SRI社製ポータブルタイプのPID-DELCD(時にはFID)検出器を搭載したガスクロを使用しました。
右は、FID検出器で、溶媒(メタノール)を含むすべての物質を検出しますが、土壌汚染対策法で定められた規制値をカバーできません。
中央は、PID検出器で二重結合を持ち、且つイオン化電圧が10.6eV以下の化合物を検出します。一般的にベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族類です。
左は、DELCD検出器のクロマトグラムです。この検出器は、塩素及び臭素に感度があります。ここで注目すべきは、PIDとDELCDはいずれも溶媒(メタノール)に感度がありません。従って、FIDでは溶媒と重なる1,1-DCE, DCMを容易に定量できます。また、FIDのXピークは、ベンゼン、四塩化炭素、1,1,1-TCA,1,2-DCAが重なっています。しかし、PIDではベンゼンを単独ピークとして定量できます。他の3物質はDELCDで定量できます。このように検出器特性を利用すると完全分離の必要がなく、時間を節約できます。


◆クロロエチレン(塩化ビニルモノマー)直接導入法

クロロエチレンは、平成29年4月1日より、土壌汚染対策法の特定有害物質に追加され、土壌汚染調査の対象物質になりました。クロロエチレンは1800年中頃、発明されましたが、その後製造方法の改善により副生成物が生成されないという安全性が確認され、広く産業界で使用されてきました。しかし、1973年にクロロエチレン製造労働者が発がんしたとの報告があり、エアゾルの噴霧助剤としては使用禁止になったが、ポリ塩化ビニル生産の為、クロロエチレン製造自体は継続されています。土壌汚染に於いては、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンの分解生成物として存在するため、調査対象物質となりました。
 
クロロエチレンは、PID検出器の応答係数が3.20(Benzeneを10.0とした時)と低いため、10volppm辺りが定量下限値とおもわれます。



◆クロロエチレン(塩化ビニルモノマー)トラップ濃縮熱脱離法(TDU)

クロロエチレンは平成29年4月1日より、土壌汚染対策法の特定有害物質に追加され、調査義務物質になりましたが、従来の直接導入法では様々な理由で定量が極めて困難である現実を改善するために「トラップ濃縮熱脱離法」が開発されました。
左図は、従来の直接導入法によるPID検出器のクロマトグラムです。
右図は、トラップ濃縮熱脱離法によるPID(左)とDELCD(右)のクロマトグラムです。

 
左クロマトグラムは、従来の「直接導入法」で、1mlのガスをオンカラム注入しました。
右クロマトグラムは、「濃縮加熱脱離法」で20mlのガスをディスポシリンジで注入し、トラップ管に吸着させ、加熱(200℃)脱離させたクロマトグラムです。
この2枚のクロマトグラムは、フルスケールレンジを10倍に変えています。
クロロエチレンはモル質量62.5と軽く、ガスクロマトグラフ分析に於いては極めて早く溶出されます。この保持時間(リテンションタイム)は、ほとんど溶媒あるいは水に近似しており、ベースラインの凹み、あるいは不明ピークにより、従来の直接導入法では困難であった正確な定量がS/N比を向上させることで解決することができました。
装置は現場にも持ち込めるSRI-8610Cガスクロマトグラフを使用しました。ガスクロにはTenax-GRを充填したトラップ管が装着されており、吸着後トラップ管を加熱して脱離した成分をカラムに移送し分離・定量できる一体型のGCシステムです。ダイアグラムは下図の通りです。



◆1,4-ジオキサンの測定

1,4-ジオキサンは、「発がん性がある」との事で、既に上水試験法、水道法では規制物質にリストされています。汚染土壌浄化後においても水との親和性が強く地下水中に残ります。
上水試験法、水道法では既に発がん性があるとのことで、規制物質にリストされていますが、土壌汚染対策法では、現場分析が困難であるとの理由で規制されていません。
本報では土壌汚染現場での「地下水中の1,4-ジオキサンの測定方法」を検討しました。分子式C4H8O2であり、一般的な「パージ&トラップ法」「ヘッドスペース法」は通用しないので固相抽出法を検討しました。
装置はSRI-8610Cガスクロに固相抽出注入口を取り付け、PID検出器で測定しました。




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